シルクロードといえば、日本ではロマンチックなイメージを抱いている人が多いようですね。でも、中国の人は、ロマンを感じるよりも先に、どこまでも砂漠が続く厳しい現実を思い浮かべてしまいます。
私も91年ごろ、砂漠や駱駝などのシルクロードをテーマとした作品を書いていました。作品の構想を練るため、カシュガルまでは行けませんでしたが、実際に砂漠の中を歩いたりもしました。そのときに感じたのは、やはり「厳しさ」でした。その「厳しさ」は、私の心の中にあり、私が自分自身を表現するために必要なものだと考えている「厳しさ」と相通じるような気がしました。
厳しい大自然に比べ、人間とはなんとちっぽけなものか。今私がここにいることも、時の流れの中の一瞬の存在でしかない。そんな心境をよく表した陳子昴の詩が「登幽州台歌」です。幽州台という場所はカシュガルとは関係ありませんが、シルクロードといえば私が真っ先に思い浮かぶ詩なので、あえて今回、ここに描かせていだだきました。
出典:日刊ゲンダイ 2007年8月6日