江南の歴史や景観を語るうえで欠かせないのが運河である。その運河沿いに点在するのが「水郷鎮」。「鎮」とは、商業や手工業に携わる人々がつくる町のこと。生糸の商いなどで財を蓄え、大都市にも負けない豊かな文化をつくりあげてきた。
その中でも「烏鎮」は、“名は鎮といえども、都の勢いを持つ”と謳われたほど繁栄した。運河に面した商店や住宅。その屋根を飾るのが「

(うだつ)」である。もともとは火事の延焼を防ぐためのものが、やがて家の豊かさを表す装飾となった。“うだつが上がらない”という言葉はここから来ている。
烏鎮をはじめ水郷鎮の繁栄は、文人や庶民の社交場であった「茶館」に象徴される。茶館はまた、商人が取引や情報交換を行う場でもあったため、扱う商品ごとに決まった茶館があったという。子牛の皮でつくった人形を絹のスクリーンで操る「皮影戯」は900年近い歴史を持ち、藍染などの手工業も発展。「崑劇」はなんと1600年にもわたり上演されてきた。密やかに奥深い文化を育んできた水郷鎮は、江南の懐の深さを感じさせる。