書画家 婁正綱の書紀行
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中国大紀行の全50話を、書画家 婁正綱氏が自身の体験をもとに語ります。
日刊ゲンダイ紙面にて好評連載中!

書画家 婁正綱氏
女性書画家。1966年、中国・黒滝江省に生まれる。12歳で書の才能に加えて、知識・知力および記憶力が高く評価され、中国政府より「智力超常児童」として認定。政府より特別教育を施される、中国の著名な書画家達に師事する。以来、その活動は国連やユニセフなどの事業に作品が採用されるなど世界の知識人・文化人等々に影響力を与えている。現在、中国を代表する書画家として、主に日本、中国、米国で活躍している。

vol.13 「茶禅一味」
 茶道に詳しい方ならご存じだと思いますが、禅宗には「茶禅一味」という言葉があります。その意味は、形は違っても茶と禅の本質は同じである。つまり、お茶を飲むことは、座禅を組むのと同じだ、と言っているわけですね。これを私の場合でいえば、お茶を飲むことと、書を描くこととは、同じようなものだととらえています。それぐらい、私はお茶に対して思い入れがあるということです。
 私は龍井茶よりも、プーアール茶や鉄観音茶などを飲むことが多いのですが、旅先でも常に茶器一式を持っていきます。定宿のホテルには何種類かの茶器を預けていて、お茶の種類によって使い分けています。一時期は急須集めに凝っていて、200以上もの急須が家にありました(笑)。精神を静め、清らかな気持ちにさせてくれるお茶は、ただの飲み物ではない、と私は思っています。今の時代はとくに、お茶を飲む、という行為がますます大切になってきていると感じますね。

龍井
 お茶の国・中国で“百茶の王”と呼ばれる緑茶がある。杭州の郊外、龍井で採れる「龍井茶」だ。
 十大手法とよばれる独自の技術で炒られた龍井茶は、香り、色、形のすべてが素晴らしく、“四絶”と称される。その名を一躍天下に知らしめたのが清の皇帝・乾隆帝。江南巡礼の折、龍井村で娘たちの茶摘みを見て、一緒に摘みはじめた乾隆帝だが、そのとき、母が倒れたとの知らせが入り、摘んだ茶を懐中に慌てて帰京。その茶を母に飲ませたところ、一口飲むごとに病気が治り、元気になったという。
 龍井の新茶、龍井の泉、その風味は一家を成す―と乾隆帝がたたえたように、おいしいお茶を飲むために欠かせない“水”にも恵まれた。とくに中国でも3指に入る名水・虎泉の水でいれた龍井茶はことのほかまろやか、最高の組み合わせとされている。
 唐の陸羽が著した「茶経」は、お茶をたしなむ人ならご存じ“茶のバイブル”。DVDには龍井茶の正しいいれ方を紹介した貴重な映像も収められている。西湖を眺めながら飲む龍井茶は、江南の豊かな自然と1000年を超える時の賜物。ぜひ一度ご賞味あれ。
出典:日刊ゲンダイ 2007年3月5日
( DVD 第3巻『江南に風雅を愛す』

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